北朝鮮半潜水艇引き揚げによる総合分析結果

国防消息第102号

1.概要

●1998年12月17日2315頃、我が○○師団○○連隊のTOD(Thermal Observation Device:熱線観測装置)哨所において敵半潜水艇を発見、我が軍の艦艇を投入し、追撃したが、1998年12月18日0650頃、欲知島南方56海里海上において撃沈、死体1体を引き揚げ及び装備18種21点を鹵獲

●1999年1月22日12時頃、撃沈された敵半潜水艇を探索中であった海軍作戦司令部所属チョン・ヘジン艦が半潜水艇船尾部分から死体1体を引き揚げ及び装備24種114点を鹵獲

●1999年3月17日1328、敵半潜水艇1隻及び死体4体を引き揚げ、装備70種589点

※総計:死体6体、装備80種724点引き揚げ

2.敵半潜水艇引き揚げ過程

●1段階:探索段階

 撃沈海域に国防科学研究所試験船、機雷探索艦、潜水艦救助艦を投入、探索し、1999年1月18日14時、国防科学研究所試験船曳航式ソナーにより最初の捕捉、機雷探索艦の無人機雷処理機によりVTR撮影、確認

●2段階:引き揚げ準備段階

 潜水艦救助艦1隻と40余名の潜水士を投入し、船体確認、浮標設置に引き続き、1999年3月4日12時、半潜水艇に結索作業完了

●3段階:引き揚げ段階

 1999年3月17日、潜水艦救助艦の特殊クレーンを利用し、引き揚げ成功

3.敵半潜水艇引き揚げ疑義

●外部からの助けなく我が海軍単独で水深150mの16気圧と2ノットの海潮流を克服して任務成功

※潜水方法は、「飽和潜水」という特殊技法で、潜水士は、空気の代わりにヘリウムと酸素を混合した気体で呼吸し、ヘリウムは、体温を空気より7倍以上低下させることにより、42℃の温水を持続的に供給する特殊潜水服を着用して潜水する技法である。

●水深150mの深さでの船体引き揚げは、世界的に異例のない高難度の作戦で、韓国海軍の優秀性を対外的に大きく誇示する契機となった。

→参考として、1983年の多大浦事件(水深85m)時は、4ヶ月間かかり、1985年のチョンサ浦事件(水深200m)時は、水深が深く、引き揚げを放棄したことがある。

4.分析

●所属:労働党作戦部南浦連絡所

●浸透日時:1998年12月17日2331〜12月18日0122(111分間)

●浸透場所:全南麗水市突山邑イムポ里(キポ)海上

●浸透規模:6〜8名(死体確認6体)
 

bulletTOD像に間諜船外部に乗組員5名が捕捉され、船内に船舶運営のため2〜3名が搭乗したものと推定

bullet半潜水艇乗組員4名(艇長、機関2、通信)と案内員2〜3名で編成

bullet新型高速半潜水艇の乗船人員は、最大8名まで乗船可能だが、死体計6体を拾得し、その他の人員の搭乗又は流失の有無は判断困難

●浸透手段:新型高速半潜水艇(SP-10 H型)
 

bullet諸元
 

区分全長吃水エンジン
確認事項12.4m2.9m0.83m3基

※韓米技術情報チーム36名が新型半潜水艇の正確な諸元を確認及び分析中

bullet特徴
 

bullet衛星位置確認機(GPS)を初めて装着:正確な位置測定が可能なことにより目標地点安着容易

bullet既存の半潜水艇は、水上及び半潜水航海のみ可能だったが、今回鹵獲された半潜水艇は、水面及び20mまで完全潜水可能、隠密浸透容易

bullet甲板及び船体に特殊塗料塗色により我が軍のレーダー探知を低下、エンジン3基により40〜50ノットの速度で高速逃走可能

●任務:間諜浸透(護送案内)又は帯同復帰(作戦部連絡所の主任務)

※北朝鮮の半潜水艇は、海岸浸透途中、我が軍に露出し、任務遂行を放棄して逃走したが、被弾・撃沈されたものと判断される。

●浸透路

bullet作戦部南浦連絡所の浸透監察地域は、木浦とカドク島間の南海岸地域

bullet1997年8月の間諜崔ジョンナム夫婦及び1995年9月の間諜金東植等が浸透した過去の事例を考慮

bullet工作母船が南浦連絡所を出発−サンヘ近海公海上−南海上の公海上に到着、母船と半潜水艇が分離し、浸透目標地点に航海したものと判断

※浸透所要時間は、南浦出発後、浸透地域まで通常5日間所要

●半潜水艇浸透戦術の特徴

bullet既存の半潜水艇は、水上及び半潜水航海のみ可能だったが、今回鹵獲された半潜水艇は、潜水航海まで可能で、隠密浸透が容易

bullet船体を特殊塗料で塗色し、識別及び探知が制限され、衛星位置確認機GPSを装着し、浸透地点に安全かつ正確に移動が可能

bullet浸透失敗に備え、全浸透要員に自決用毒薬アンプルを支給、自爆精神を強要
 

bullet以前は工作員にのみ支給していた自決用毒薬アンプルを乗組員及び案内員にも支給

→今回、浸透乗組員2名から首に掛かっている毒薬アンプルを各1個鹵獲

bullet浸透に不適切な時期にも工作員浸透の事実を確認
 

bullet通常、工作員は、隠蔽と活動が容易な緑陰期(4〜10月)を利用して浸透

bullet最近では、1998年11月の江華島及び1998年12月の麗水イムポ里地域に冬季期間に浸透する等、季節・気候条件等に関係なく浸透

5.総合判断

●労働党南浦連絡所所属間諜船が無月光期を利用し、1998年12月17日2331〜翌日の0122の間、麗水市イムポ里(キポ)に浸透を指導していた。

●関係機関(国家情報院、機務司)の事前浸透徴候により、警戒強化中であったTOD観測兵に事前探知され、任務遂行を放棄して逃走中、我が海軍のレーダーに探知・追跡・撃沈された。

●浸透人員は、間諜船撃沈時、我が海軍の艦砲砲撃により、全員死亡したものと判断

●今回の浸透に使用された半潜水艇は、性能が改善された新型で、精密技術調査を実施し、強・弱点を把握、対応策を考慮する計画である。

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最終更新日:2004/03/19